『マンデラの名もなき看守』

 東京ミッドタウンのタワー33階にあるギャガの試写室で『マンデラの名もなき看守』の試写。いやあ、いい映画だった。説教くさい映画でなくてよかった。マンデラ主人公じゃないところがいい。ジョセフ・ファインズ好きなんだよ、ぼく。

 それにしても六本木の外国人の多いこと。モデル事務所もあるんだろうなあ、すごい美人さんが歩いていたりする。

 それからさ、自分が仕事中ですって顔でミッドタウンを歩いていることにすごい違和感。ぼくはオノボリさんでオドオド、キョロキョロしているはずの人間だったのに。何食わぬ顔でタワーの関係者用エレベーターに乗り、33階へ行って受付の姉ちゃんの前を素通りしてどんどん中へ。違和感だろ、違和感。六本木の街を見下ろしながら、自分が自分じゃないものになっていきそうな気が。
 名須川町のあの狭いアパートで、なけなしの金をはたいて買った文庫本をドキドキしながら読んでいた頃のぼくが好きだ。本は宝物だった。きらきらしていた。