ばかだ

 秋葉原の事件、底が浅いよなあ。ネットの日記で自分がモテないとか、不細工だとか、負け組みだとか。「彼女がいない それが全ての元凶」っておまえ……。あまりにも浅すぎて、語ることがない。

 どうして不遇だからといって人の命を奪っていいことになる? しかもなんで秋葉原へ? 自分が嫌っているカップルとか勝ち組とかとは、まったくちがうところに矛先を向けやがって。もちろん、そっちへ向ければいいってわけじゃないけどさ。

 噛み付く相手がわからない弱い人間が多すぎる。立ち向かう力のない人間って、弱いほうへと矛先を向けるんだよな。「見返してやる」という気持ちって、いまの若い人たちには通用しない考え方なのだろうか。幼稚な破滅型は、周囲にはいい迷惑だ。

 そもそも負け組ってなんなのだろう。容疑者は進学校へ行って、短大にも行けてさ。負け組ってカテゴリーが作られたおかげで、自分は悪くない、社会が悪いと開き直っている輩っていると思う。勝ち組とか負け組みとかよくわからんが、勝ち組=悪、負け組=善といった安直な二元論で自分を正当化するなよってことですよ。必死で努力して勝ち組と呼ばれる立場の人っているだろうし、努力をしなかったことで負け組みと呼ばれるポジションの人もいるだろう。

 結局、「け、そんなのくだらねえよ」と小馬鹿にして、なんにもしなかったせいで負け組になったんじゃねえのか、と思ってしまうのは傲岸なんだろうか。

 容疑者はいい仕事に就くために夜勉強したりしていたんだろうか。モテるために金貯めていい服を買おうとしたり、かっちょいい車を買おうとしたりしたんだろうか。チープな自己愛に寄りかかって、そんなことしなくてもいいと偽者の自己肯定感に浸っていただけなんじゃないだろうか。「あっちの葡萄はすっぱいさ」と自分を騙し続けるのって、人間はしょせん無理だと思うんだけど。
「変わらない人間は馬鹿だ」とサワダは言っていた。それだけだ。ぼくもそう思う。