母の誕生日

 母ちゃんが61歳に。弟夫婦も妹も実家に勢ぞろい。みんなで手巻き寿司で祝う。恒例の誕生日プレゼントは、今年は母からの申し出でポーターの新作カバン。還暦過ぎても若いよなあ。

 妹君が結婚するので、結婚式のスライド用に写真を掘り返している。弟の嫁さんは結婚式場でビデオ撮影したり、スライド作ったりする仕事を以前はしていたので、今回頼んだのだ。
 アルバムをめくれば古い話が飛び出してくる。やっぱり年をとると古いことのほうが覚えているみたいだな。父ちゃんと母ちゃんは若い頃市ヶ谷に住んでいた。ふたりとも働いていたのだけれど、父ちゃんが呼び戻された。理由は父ちゃんの兄ちゃんがちゃらんぽらんな人間だけど、コンニャク屋をつぐことになって、ひとりで任せられなかったからだ。なにせ会社の金を夫婦して持ち逃げようとして捕まった男だったからな。

 けどさ、最近気づいたんだけど、そのおじさんに自分似てきたんだよなあ。弟は母方の男性顔。ぼくはもろに父方。悲しいというより、なんか切ない事実なんだな。