『色即ぜねれいしょん』

 『アイデン&ティティー』が二十代半ばの物語なら、今回見た<a href="http://shikisoku.jp/indexp.html">『色即ぜねれいしょん』</a>は高校生の話。あいかわらず、みうらじゅんは「ボブ・ディランが好きです」を連発している。そして、無条件に自分を受け入れてくれる女神のような女性。

 高校生って悶々としているもんね。「欲望」じゃなくて「煩悩」なの。「欲望」って大人だもんね。十代って悲しいくらいに自分に正直であったりする。短大の美人のお姉ちゃんにエッチしようって言われても、思い浮かぶのは小学生のときから片思いだった女の子。その子に操を立てて、据え膳食わぬ潔癖さ。大人にはできないよ。

 主演の男の子は、黒猫チェルシーという高校生バンドのボーカル。この映画には峯田君も岸田君も出ているけど、ビジュアルは同じ系統だなあ。そして、黒猫チェルシーの曲を聴くと、ぼくらがリアルタイムで聴いてきたものが、いまでは消化され、萌芽を支える大地のごとくなっていることに気づかされる。フォロアーの距離じゃないんだよ、1990年生まれの彼らにしてみれば。

 あ、今回クドカンが脚本じゃなかったのかなあ。テンポという点では悪かったなあ。前のカップル寝てたし。