山登り

 山歩きが流行っているそうな。山ガールもいた。森ガールは森にいないけど、山ガールはちゃんと山にいるんだな。でも、山ガールって既婚者が多い気がする。実際は山嫁だ。なんだか山姥みたくなってきた。

 ともかく、奥多摩手前の御岳山に登った。カメラ仲間君の大学の友人たちだ。山歩きはなかなか面白かった。基本的にぼくは栃木の田舎に住んでいるので、出かけなくなって山はある。でも、みんなで歩くのがいいんだろうな、きっと。帰りの温泉もよかったし。

 けど、大学の友人君たちには辟易した。30歳ってこんなにも幼稚なのか、と。酒が入ると調子付く。ひとりは寂しがりや。ずけずけと物を言って甘えつつ、後半は自己嫌悪でボーっとする。帰りのホームでは「彼女欲しいーーー!」と声を裏返して叫んで人が散った。もうひとりは自尊心が高くて、現実の自分とのギャップに虚無感みたいなものを感じてんだな、彼。空手3段らしく外国人狩りの話を自慢げにしていて、本当にげんなりした。
 ぼくに参加を呼びかけたカメラ友達君への接し方もひどい。イジリ倒す。愛情があって、「ねえ、本当に君大丈夫なの?」というものがあってのダメ出しと、自分が面白けりゃいいっていうイジリ倒しの差がわかってないんだな、あいつら。語るべき自分がない人って、人をイジって笑いを取るしかないんだろう。しらけてくる。

 前日のパーティーで会ったみんなは、仕事が報われようとも、報われまいとも、好きなことをやっている人たちばかりだから、そこらへんは気持ちいいもんだ。昨日の今日での比較だから、ひどく浅薄に見えてしかたなかった。