『イニシエーション・ラブ』

 乾さんの『イニシエーション・ラブ』を読む。叙述トリックだった。なるほどねー。面白かった。

 発疹がひどいので、大きな病院にいく。溢れんばかりのご老人たち。すべてのベンチにご老人たちが座っている。老人ホームにまぎれてしまったかのような病院だった。
 それにしても、段取りの悪い病院でもあった。皮膚科に行って診察券を出して待っていたのだが、いつまでたっても呼ばれない。電光掲示板の「次に呼ばれる方の番号」にも表示されない。混んでるからな、と思いつつも、皮膚科を待っているのはぼくくらいなのに、と不思議だった。
 そしたら、看護師さんがふたりやってきて、機械の端末をいじりながらごちゃごちゃ言い合っている。どうやら入力を忘れていたらしい。入力したとたん、ぼくの番号が呼ばれた。
 診察室に通される。先ほどの看護師さんが先生に言っている。
「番号が表示されても10秒くらいで消えちゃうんですのよ」
 うそつき。さっき初めて入力したくせに。一度だって表示されなかったぞ。

 さて、やっと診察となったのだが、この先生も手際が悪い。診察は五分ほど。で、診断結果をデスクにあるパソコンに入力するのだが、これが恐ろしく遅い……。さらに、会計にまわす処方箋を先生自ら入力しているのだが、まちがいだらけ。診察5分、入力15分。ぼかぁ暇で暇で、眠りそうでしたよ。

 やっとこさ会計に持っていくものがまとまり、クリアファイルにはさんでもらって会計へ行く。それを提出して待つこと20分。大きな病院なので、会計待ちが多いのだ。クリアファイルも20冊くらい重なっている。

 今日は間に合わなかったゲラを大門まで届けなきゃならんのよね、なんて思いつつ待っていると、先ほどの電光掲示板の看護師さんがやってきた。
「あのですね、先生が薬を出しなおしたいそうなので、診察室に戻ってください」
 あともう少しでお会計がすみそうだったぼくのクリアファイルを発掘して、持っていってしまった。しかたなしに診察室へ行く。先生がなにかモグモグと説明してくれるが聞く気にもならない。早い話が、先生が入力ミスしたのだ。それを処方を変えたいからと話をすりかえていやがる。嗚呼、もう……。