ディック東郷国内ラストマッチ

 ディックの国内ラストマッチをスカパーで見る。ディックは体をビキビキに作ってきていた。動きもいい。まさに全盛期にやめていくのだ、と外道とのラストマッチで思う。プロレスラーって基本的に引き際の美学がない。スポーツ選手も格闘技の選手も、下り坂になったら廃業までが早い。その点、プロレスラーは、特に男子はビジネスとしてリングに上がり続けることができてしまう。
 試合後、多くのレスラーがリングに上がってディックに花束を渡していく。タイガーもデルフィンもいる。薬師寺が来て、ぼくは泣いてしまう。この場に星川がいない。テッドさんだっていない。ハヤブサが車椅子のまま花束を渡す。女子プロだと引退試合で関わったたくさんのレスラーが大集合するものだけれど、男子では珍しい。そしてみんな笑顔。ディックがリスペクトされるだけの選手だったからなんだろう。多くのレスラーが同じことをしようとしても、無理だと思った。