暑い

 そういえば先日『シン・ゴジラ』を見たのだった。よくできていた。まあ、ぼくは特撮モノは長らく見ていて、ゴジラがどんどんヒーロー扱いになっていくのも、子供向けになっていくのも、まあ、いいんじゃないのって思っていたけれど、今回の原点回帰はすばらしかった。パニック映画特有のヒューマンドラマを省いた点は素晴らしい。ジャニーズやAKBがいないことも素晴らしい。普通映画は製作委員会を立ち上げてお金を集め、各スポンサーの意向が否応なしに反映されることになるのだけれど、『シン・ゴジラ』は東宝だけが金を出して作った。監督の作りたいものを作る。そういうことができなくなっていた日本の映画界に、金に左右されなければ面白いエンターテイメント作にして作家性も込められたものを作れるんじゃんと示せたのでは。

 ぼくは映画も続き物だったら最初の一本目がいい。『ランボー』とか『ロッキー』とか金を生み出す作品と見なされときにどんどん駄作となっていく。バンドもファーストアルバムが好き。これがやりたいんだ、という塊。小説もたいていデビュー作が面白い。続けていると受け取り手のことを考えて、ウケ狙いの姿勢となってこれが面白くないのだ。

 作り手に好きなようにやらせてみろって思う。いま流行っているものなんて関係ない。いちばんいいのは作り手がもっとも影響を受けたり好きだったりしたものをそいつにやらせること。タランティーノは少年時代に好きだったものをいまの自分が作ったらどうなるだろうという感じでやっていて、それが面白い作品に繋がっている。『シン・ゴジラ』もそう。好きだったものをいま自分が作り手になってやる幸せ、愛があるからいいものになる。なんて思ってる。

 さて、オリンピックが始まり、新日はG1で、甲子園も始まるし、スポーツ好きにはテレビの視聴時間が足りなくてしかたがない。阪神が弱いからプロ野球を見る必要はないと思っていたのに、CSに頑張れば滑り込めそうじゃない?