『暗渠の宿』

 西村賢太『暗渠の宿』面白れえ! 面白いといったら女性から顰蹙かいそうだけれど。たったひとりの恋人が欲しくて、ぬくもりが欲しくて、右往左往どころか深夜も徘徊。なんなんだ、このほとばしるリビドー。なんていう真摯な露悪。ほぼ私小説のようだし、ここまでさらけ出せるなんて。怒り満載。暴力励行。でも、ユーモアこみ。カンニング竹山のブレイク前夜の暴発ぶりに似ている。もはや芸。