同窓……(2)

 今回の誘いも強引だったなあ。
「デシデシ君はもう3、4年も来てないんだよ。だから今回絶対参加してもらうからね」
 楽しかったら参加しているよ、もっとさ。会いたい人には多少無理でも会いに行く主義だ。映画館でいっしょだった人たちや、大学・大学院でいっしょだった人たち。でも、実家に帰って会うのが気乗りしない。それになんで義務みたくなってるんだよ。そもそも行きたくないのはA君がいるからなんだし。
「最近どう? もう独身なのはデシデシ君だけになっちゃったよ。どうすんの?」
 どうするもこうするもほっとけってーの。それはおれが聞きたいよ。結婚ってそんな偉いのかよ(偉いのは重々承知だが彼に言われたかないんだ!)。この忘年会のメンバーのO川君が結婚したとき、その相手を見繕ったのがA君ということになっている。本人はキューピッドだと思ってるんだな。結婚式のときも「おれのおかげだ」を言いまくって、本人たちにも言わせたがってドン引きでしたよ。
 行きたくねえなあ。
 で、最近同じ中学のメンバーM木君が、麻布大学の犬と人間のコミュニケーションを科学的に解明するってプロジェクト関連でネットで紹介されていて、たいそう感心したからA君に話したわけだ。M木君はぼくと同じ高校に行き、そこから東京農大→東大ドクター→いろんな大学の講師やっていまは麻布大学
「M木君の記事読んだよ。頑張ってんだな」
 話題を換えたくて話してみたんだ。でも、スルー。嫉妬深いんだよ、A君。
 忘年会のメンバーにはK君というやつがいて、彼は東北大ドクターまで行って鹿島建設に。早実国分寺に移ったときにホールの設計とかしてんの。で、中学のテニス部じゃM木君とK君が組んでいて一番手。成績も彼らが中学じゃトップどころ。で、A君は永遠の二番手だった。その点、ぼくなんて五番手、六番手が関の山。いまでもあの頃の優越感を持ち出して来るんだよ、いまでも! 
 K君には中学テニスでも高校進学大学進学でもまったく頭が上がらなかった。だから持ち上げるようなことを忘年会で言うわけさ。でも、ぼくには違うんだな。
「あのデシデシ君が(ニュアンス的にはデシデシ君でも)作家なんだもんねー」
 嗚呼、面倒くさい! 

 ま、きっと向こうには悪気は無いんだよ。同窓生への親しさがちょっとずれているだけなんだよ。そう考えることにしてるんだけどさ。