『神田川デイズ』

 豊島さんの『神田川デイズ』。若いのにうまいんだよなあ。文語文から華麗に離れて話芸に近い。ちゃんと自分で語りを持っているという点で、同世代の作家よりもはるかに前へ行っていたと思うんだけれどな。なんで休筆してしまったんだろう。
 選ばれたい、自分は選ばれるだけの何かを持っているはず、と妄信していたことからの反動と本人は分析している。人は選ばれることを待っているべきではなくて、自分で何かを選びながら生きていくものだ、とも。