『ブラック・スワン』

 本日は『ブラック・スワン』観てきた。『レスラー』でミッキー・ロークをカムバックさせたダーレン・アロノフスキー監督が今回はナタリー・ポートマンを再生。いい女優さんだったけれどポテンシャルを引き出せる役をやっともらえたって感じだ。一流女優だけれど手垢がついてたんだよね。それから彼の映画はキャスティングもいい。リリー役のミラ・キュニスよかったなあ。あのビッチ感はすばらしい。ウィノナ・ライダーヴァンサン・カッセルも見事なまでに適材適所。

 テーマとしてはむかし松本大洋が『zero』でやったものと変わらない。孤高の世界にいる者の狂気と孤独。とてもマンガ的なテーマを、金を集めたうえできちんと映画に仕立てあげるんだからすばらしい。日本映画ってもう金を集めるなら、キャスティングにせよ、内容にせよ、がんじがらめだものね。作家性を優先させて、それでいていいキャスティングで映画を撮れる人なんて一部でしょう? 金を出すからうちのタレントを出演させろ、うちのアーティストをエンディングに使え、と。

 もっとマンガを上質なエンタメにせずに、売れっ子タレントを使わずに、そのまま映像化してしまえばいいのに。不穏なもの、不安定なもの、をせっかくマンガが描いても、後味のいいものに変えてしまうのはやめようぜ。『ブラック・スワン』なんてあんなに後味悪いのに、女性客は映画館に戻ってきている。白鳥の湖ナタリー・ポートマンというパッケージの良さで引っ張っておいて、実はやりたい放題というのは、いい。

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 話は変わるが、全日の平井が倒れた件。TARUが試合前に暴行していたんだってね。ほぼ同じ日に、K−1ヘビー級のベルトを巻いた京太郎が全日に上がるというニュースが。自演乙もプロレスを始めたが、K-1はかなり末期症状だな。フランスのイッツショウタイムにも訴えられかかっているし。日本の格闘技の火が消えかかってるなあ。