新宿

 ちょっとした話があって新宿で顔合わせ。ビルの七階にある一見おしゃれなお店だが、入ってみれば安っぽいいわゆる合コン部屋みたいなところ。少しずついろんな職種の人たちと会う。女優やシンガーソングライターやイラストレーターや脚本家や映画監督やフォトグラファーやマンガ家などなど。大学生のころは関わりの生まれる人たちとは思えなかった。そういった点では出版社の人たちや作家もそうだ。きらびやかな職種に思える人たち。うまく言えないけれど、大御所さんと会えば会うほど実感もなく、現実感もなく、自分が誰だかわからなくなる。それってすぐそばに虚無感があって、息苦しさもある。なんで自分がここにいるんだろう、と呆然とする。今年39歳になってしまう。本当のぼくは盛岡でミウラヒロコのアルバイト終わりを車で迎えに行っていたころのぼくであって、遠く忘れてきてしまったように思える。もっとひどいことを口にして、勝手に憤慨して、至らないばっかりに傷つけていたころのぼくのほうが、本当のぼくである気がする。いつからこんなニュートラルな立場で人にアドバイスしたりするようになったのだろう。