IGF

 なんかよくわからんが、IGFを見てしまう。IGFとは、イノキ・ゲノム・フェデレーションアントニオ猪木の団体。これがひどい試合ばかりなんだ。バックボーンがすばらしかったり、体を作りこんだりしてきているのに、プロレス自体はぼくらでもできそうなくらいレベルが低い。闘いを見せろ、と猪木は言うが、酔っ払い同士の喧嘩がだって死ぬ気でやってれば、そりゃあ闘いだわな。
 それでもなぜ見ているのかと考えてみれば、これほど予定調和から程遠いプロレスはなくてさ、人間ってハプニングが好きなんだな、と。マッチメークは面白いんだよ。アオリもいい感じだ。だから、期待感が大きければ大きいほど、結果の落差がある。そのがっかり感が癖になるのかなあ。上質なプロレスはたくさんあって、でもお客は入らないいま、ハプニングを期待してのプロレスのほうが集客があるってことに、なにか考えさせられるというか。ハプニングという点だけに注目してみれば、そこはガチなんだよね。

 むー、なんか取りとめのない話になってしまった。

 そういえば、同業のアサクラさんとヤヅキさんとアスカイさんとお酒を飲んできた。みなさんが仲がいいそうで、呼ばれた形で。小説家が集っているというのにあいかわらず小説関連の話はしない。どんな女になりたいか、実家はなんだったか、旦那はどんなふうか。ま、このほうが健全だわな。そして、いろんなタイプの小説家がいることを知る。ぼくはつまらん日常を送っているなあ。でも、面倒な数年を送ったのでいまは波風たたない日々を希望。いまはほんと穏やかだよ。誰も眉をひそめる人がいないよ。そういう日々に飽きてきそうな自分がこわいけど。
 夕方の五時半から飲み始め、夜十時半までしゃべり倒す。帰ったあと近所のシンガーソングライターの子とファミレスに行き、午前三時までしゃべる。喉が枯れた。
 今回、その子はまた仕事をやめそうだ。半年しか働いていない。その前の仕事も一年のみ。やりたいことがあると仕事が疎かになったり、馬鹿馬鹿しくなったりするものだってのはわかる。ま、デビューが30歳だったぼくが言えることじゃないが、30歳が見えてきたときに「〜になる夢があります」ってのは、イタいよね。基本的にいまの時代、女子のピンのシンガーソングライターは十代半ばで目をつけられていなけりゃ駄目だって音楽業界にいた人が言っていた。バンドだってチャットモンチーにせよ、ねごとにせよ、もっと若いもんなー。音楽やイラストや写真をやっている人たちとけっこう知り合うけれど、それを趣味と位置づけて、自分を納得させてやっていく時期ってくるのかもしれない。