『コクリコ坂から』

 レイトショーで『コクリコ坂から』を見てきた。『ゲド戦記』で酷評を受けた宮崎吾朗。やっぱり、オヤジがビッグだと息子は大変だな。もともと建築関係で働いていたはずなのになぜアニメに参入してきたのだろう。チャレンジなのか、さけて通れなかったのか。ともかく、今回は無難な作品となっていた。原作つきだから大幅なコケ方はしないとしても、もう少し思い入れたっぷりに作ってもよかったのでは、と思うところもある。できることだけをやってしまったというか。できないことをやって失敗したのが前作だったから、守りに入るのはわからないでもないが。だいたい人生においてチャンスが回ってきた場合、やらなくちゃいけないことは身の丈より大きいものだからね。

 あとはちょっと不親切な映画でもあった。主人公の子が「海」とも「メル」とも呼ばれていて、最初とても混同した。で、最後までそれがなぜかわからなかった。帰ってきて調べたことには、海をフランス語でラ・メールと言うと。登場人物のひとりがラ・メールを縮めてメルと呼んであだ名になったらしい。これを説明するシーンがないんだな。人によって海と呼んだり、メルと呼んだり。今回、高校が舞台なのだけれど、古い文科系のサークル棟をカルチェ・ラタンと呼ぶ。いっしょに観に行った人はなぜそう呼ばれるかわからない、と。そうだよね、フランス好きでもなければ。

 ちょっと感想に困る話だった。