コツ

 もうデビューして十年以上が経つのにいまだに技術的に至らないところがあってへこむ。でも、技術面でのびしろがあると自分で思えるうちはまだまだやっていけるなとも思う。
 なんてことはこの日記にしか書かないかな。どうして多くの小説家がツイッターなどで平気で仕事の裏側をさらすのか、ぼくには理解ができない。バックヤードは見せたくない。アイドルやプロレスラーなども表の顔だけ見ていられればいい。どうして飲み会のような交流会に行きたいのか、とんと理解ができない。だっていやじゃない、結局その人の本当の顔を見るなんて。どうせいやな面を見せられるんだからさ。

 今日は近所からエレキテル連合が生中継していた。犬の散歩コース。いまラインで犬の散歩仲間グループでやり取りをしている。二十人を超えた大所帯。みんな東村山の人だから、「エレキテル連合すぐそこにいるよー」なんてやり取りをする。簡単に教えあえる。ぼくらが大学生のころにあったらさぞかし楽しかっただろうな、と思う反面、揉めたときにはいやなツールだな、なんてことも考える。実際、犬のグループでもひとり抜けたしな。人づき合いが苦手な人は、ああいうツールの上でもうまくやれない。コミュニケーション能力ってなんなんだろう、と思う。

 そんな犬グループの人たちとも飲みに行くこともある。晩ごはんを作るのが面倒なので、飲みに行って済ましてしまう。先日は焼き鳥屋へ。50歳の男性とそこへ同居している39歳の女性、23歳の大学生、45歳のおばちゃん、50歳のおばちゃん、というメンバー。共通点は犬のみ。でも、お酒を飲むのが好きな人が多いなあ。
 で、イスラム国に殺されたふたりの話をしていたら、隣のテーブルのおっちゃんが急に話しに入ってきて、殺されたあとのいちばんショッキングな画像をスマホで見せてきた。おっちゃん、ムスメさん、おかあさんの三人家族のようだ。ぼくは笑ってやり過ごしたけれど、腹が立ってしかたなかった。なんで食事しているところにそんな画像を見せるのかな。わざわざ保存して持ち歩く意味はなんなんだろう。残酷な画像を人に見せて反応を楽しむその悪趣味なところもどうかと思う。なんでも国単位で判断するのは好きじゃないんだけれど、正直この国はいったいどうしてしまったんだろうと思う。偉い人が導くんじゃなくてさ、普通の人が「そうじゃないんじゃないの?」と疑問を呈して、「こうあるべきなんじゃない?」と言えるのがまっとうだろうに。でも、いまは意見すればまず反論があり、時として刺される。大学生のころ、たくさん口論をした。抽象的なことで。あれは有意義だったよ。意見が持てた。あ、そういう意見もあるのか、と立ち止まることもできた。