スターダム

 まだ映像を見ていないのでなんともいえないが、先にグーパンチを出したのは惡斗のほうらしい。和田京平はなんとか試合を成立させようとしていたようだ。その点、プロレスのレフェリングの悪いところが出たのかもしれない。ボクシングやほかの格闘技のレフェリーならとっくに試合を止めていただろう。プロレスのレフェリーは、とくに和田京平くらいになると、試合のコンダクターくらいのポジションにある。本来、レフェリーにない役割まで。このことは今回の一件で改善されるべきだと思う。プロレスだってレフェリーはレフェリーだ、と。

 知り合いの書評家さんの、知り合いが映画監督で、今回安川惡斗主演の映画を撮っていてまもなく公開となるという。その人の話では、眼窩底骨折、鼻骨骨折、頬骨骨折だそうだ。目に関しては腫れが引かないと検査できないので後日らしい。惡斗は最近白内障の手術をしていた。それから、うろ覚えなのだけれど、片方が義眼じゃなかったっけ。そんな人に対して顔が変形するまで素手で殴りつけるのは常軌を逸している。

 ネットではこれもプロレスなんて言っている頭のおかしいやつらがいる。バカ言ってんじゃねえ。どこがプロレスなんだよ。思うに、本当にプロレスなんてわかっていなくてプロレスを見るやつらがたくさんいる。団体側としては金を出してくれるお客様だからなにも言えないだろうが、同じ金を出す立場のこちらから言わせてもらえれば、そういうやつらこそプロレスを見なくていい。

 シュートだとかセメントだとか言うやつらもいる。けれど、シュートだとかセメントというのはお互いプロレスの技能じゃなくて、格闘や体格などが拮抗している場合に使える言葉だ。世Ⅳ虎と惡斗では成り立たない。あれはただのケンカだ。しかも圧倒的に優位な世Ⅳ虎がボコっただけだ。それをなぜ止められなかったのか。木村響子が涙ながらにタオルしたと聞く。「見ろよ!」と和田京平にアピールしてやっと止まったのだとか。世Ⅳ虎と惡斗が不穏な空気を醸し出していたのは、ロッシー小川も風香もわかっていたはずだ。力量の差があるのもわかっていたはずだ。なのになぜこんなことになったのか。まず、やらせた時点で運営側の問題だし、止めなかったのも認識が甘い。今回、ロッシーや風香が、リング上でのふたりに責任を押し付けるようなことをするなら、団体の存続も危うくなるだろう。そもそも、ここまでした世Ⅳ虎と誰がまた試合をしたい? 

 ぼくとしては世Ⅳ虎は買っていた。プロレスもうまい。体力もある。プロレスを好きだ。つうかあの子の来歴を考えるにプロレスを奪ったらまずいことになる子だ。世Ⅳ虎にとってプロレスがどれだけ大切なものなのかは育てた風香が誰よりもわかっていたはずなのに、きちんとハンドリングしてやらなかった罪は重い。ロッシーや風香こそなんらかのペナルティーを課せられるべきだと思う。

 気になるのはどうして世Ⅳ虎がここまで惡斗をボコったか、だ。ここからは邪推だけれど、惡斗の映画が公開するにあたって、丸め込みでもなんでもベルトを渡すように世Ⅳ虎には言い含められていたんじゃないだろうか。ボコられても丸め込んで勝つ、なんてふうに。世Ⅳ虎は惡斗にジェラシーを感じていたという。面白くなくてボコった。運営側やレフェリーは筋書きを知っていたので止めるのが遅れた。まあ、別冊宝島的な話になってくるけれどさ。

 サムライでの放送は28日。お蔵入りになる気がする。バトルメンの放送は本日22時より。どうだろう。今回のことを受けて、プロレス団体もプロレスに携わるメディアもきちんと見解を出さなくてはいけないと思う。こういうことは絶対にNOのはずだから。