強くなりたい

 知り合いの子が三十代半ばで心を病んで、これで二度目の休職。適応障害ってやつ。そんな状況で子供が生まれて目も当てられない。自分は働けないくせに写真家になりたいの一点張り。まあ、正直に言ってなれないだろう。で、奥さんは子供が一歳になったのでやっと職場に復帰。その奥さんに対してクソミソ言う。保育園の待機児童問題って都内ではけっこうな問題で、奥さんは本を買って知識を得て、頑張って子供を入れようとしていたみたい。でも、結果はダメ。働いていない旦那が改めて本を読み、手伝ってやろうかと思ったが奥さんが途中でこの問題を投げ出すとスキルがつかないだのなんだの言って、ノータッチを決め込みやがった。

 家族での問題なのに。奥さんがダメだったらすぐにやるのが旦那だろうに。なぜ上から目線で保育園に入れる活動の駄目出しをするかな。そもそも、できるかな。いつもこうした問題が起きたとき自分が尻拭いばかりしていて、奥さんのためにならないから最後までやらせる、みたいなことを言い出す。懲罰登板じゃないんだからさ。しかも、家族の問題で、嫁さんだって弱りきっているだろうからさ。自分は働けないで一円も稼いでいないくせにどうして踏ん反り返っていられるんだろう。写真家になりたい、じゃなくてまずは仕事復帰を考えろよ。

 この前の後輩の女の子が斉藤和義を嫌いだと言った。人が好きなものをその人の目の前で嫌いと言い切る人間が嫌い。傷つくんじゃないかと想像できないその薄っぺらさが嫌い。ともかく、話題はそれたけれど、その駄目な旦那には「やさしくなりたい」を五百回くらい歌ってもらいたい。まずはやさしくなれよ。強くなれよ。