牡蠣

 日曜日は写真仲間で寿司だった。メンバーのひとりが寿司職人でお店もやっているので、店舗ではないお座敷を借り切って食べる、食べる。美味しかった。けれども、お遍路で四国をぐるりと歩いてみれば鮮度のいい寿司はいくらでも食べられる。実はご当地に赴いて食べる以上の美味しいものはないのだと思う。
 先日、牡蠣を食べたばかりなのにこの日も食べる。3Lというサイズの牡蠣。手のひらよりも大きい。栃木は海ナシ県ゆえに寿司や魚のうまさに疎い。食べたいものと言えば肉ばかり。寿司通になってみたかった。

 昨日の火曜日は映画館でいっしょだった子とお茶してきた。あのころ20歳だったその子もいまでは38歳。独身。美人だったけれども年月の移ろいはどうしようもない。結婚できるかどうかもあやしい彼と付き合って一年。まあ、こちらもなにか言えるようなプライベートではないので。

 やっぱり、上とか下とかはないけれど、普通に結婚して、子宝に恵まれる、というのはこの国に生きているかぎり幸せの形としては最上なんだろう。僕の周りには小説でもなんでもその世界で成功して金もがっぽりでいい生活をしている人たちがいる。でも、やはり子供がいない人たちのその後の型にはまり方ってどこか痛々しい。結局、いいものを求めていくしかない。飾っていくしかない。上塗りばかりでその実は本人は老いていく。周囲が褒めそやそうとも美人作家は太ったおばちゃんになっていく。もはや、作品を残して評価されることが最上になる。それってある意味つらいんじゃないだろうか。