冷麺

 高松の池からマッハランドへ抜けた。実は高松のモスバーガーへ寄ろうとしたらなくなっていて、しかたなく検索したらマッハランドの前にできていたのだ。気分はマックではなくモスだった。

 帰りの新幹線は19時50分でそれまでフリーだった。自転車で回れるだけ回ろうと思っていたのに、昨晩はしこたま酒を飲んでしまったし、モスの店内は暖かくて眠くなってしまった。結局、舘向を抜け、大学構内を走り、山田線を渡って本町へ。盛岡中央郵便局の前を通り、映画館通りに。そのあたりでなんだか疲れてきてしまった。雪もひどくなってきたし。映画でも観ようかと思ったがタイミングが合わない。MOSSというショッピングモールのようなものができていて、映画館も何スクリーンかあるようなので寄ったがここも駄目。同じビル内にあるジュンク堂でぶらぶら。いったい何をしているんだろうという気持ちになってくる。

 思えば学生のころもこういうなんでもない時間を過ごしていた。金がないけど時間はあった、というやつだ。自分でも何を待っているのかさえわからないのに、とにかく何かを待っていたような気がする。ガツガツと動くような学生じゃなかったんだな。

 待つと言えばミウラヒロコをよく待っていた。あの子は一週間のうち6日は用事を入れるようなタイプだった。うちの妹といっしょだ。あの子は英会話教室、土井先生の稽古、アルバイトふたつ、IBCの話し方教室とほかのなんかの教室と、ともかく忙しい人だった。ある意味、正しい学生だったのかもしれない。ガツガツしていて。その割には英検2級が何度受けても受からず(教育の英語科だったのに!)、暇潰しにいっしょに受けたぼくが一発で受かってしまったものだから、なんだか微妙な感じになった。その後、彼女は新設された英検準2級というやつを受けて合格していた。たしかタテオカさんも同じように英検準2級をやっと受かっていた覚えが。当時、彼女も開運橋のふもとにあった英会話教室に通っていたのに。

 アイフォンの充電がしたくてホテルロイヤル盛岡の一階にできていたスタバに入った。ここもミウラヒロコやクワジマが結婚式場の巫女としてアルバイトしていたところだ。17時になったので駅に向かう。駅前のぴょんぴょん舎でひとり焼肉と冷麺。学生の頃、ここの社長さんと面識があった。北の人だった。いっしょに留学生に日本の文化を紹介するボランティアを少しだけやった。というか、巻き込まれた。息子ふたりの家庭教師をやらないか、という話もあった。うやむやにしたけど。
 久々に食べた焼肉と冷麺はうまかった。自分の人生が何をどうしてどこへ向かっているのかさっぱりわからないけれど、いまじゃ叙々苑の上のクラスという位置づけにある游玄亭で焼肉を食べさせてもらったりしている。でも、やっぱり盛岡の焼肉を冷麺はうまいんだな。貧乏学生ゆえのお情けで食べさせてもらっていた焼肉と冷麺を自分の金で存分で食べる。うまいよ。