金成

 奥の細道を歩いて回る取材旅行が、とうとう平泉まで。最北端まで来たよ。ここからは仙台方面へ。その後、山形経由で日本海に抜ける。まだまだ先は長い。つうか、お遍路のときもそうだったけれど、よくもまあこんな途方もない取材に大金を注ぎこんでくれるもんだ。たぶん、もとは取れないぞ(笑)

 一関手前の金成を歩いた。ヨシミちゃんの実家の運送屋はどこだろう、なんて思いつくがわかるはずもなく。ともかく、分割しているにせよ東京から岩手まで歩けるもんなんだな。お遍路は1,200㎞くらい歩いた。今回は2,000㎞を超える。同業者からは「いったいあんたなにをそんな非効率的なことをやってんの」と笑われる。うらやましがられもする。お遍路はたぶん三百万くらい取材費がかかっている。今回はもっと。だから、うらやましがられるのだ。「いいなあ、おれなんて全部グーグルアースで調べてるんだぜ」なんて。

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 今度本を出すんだけど、どうも装丁で折り合いが悪い。内容を読んでくれているなら、そういうパッケージングはしないと思うんだけど。こういうのってどんな世界でもあるんだろうな。作った側の本意とは別に、売り手の売り方のためのパッケージ。どんなジャンルなのかカテゴライズして、買い手はこんなもんだろうと想起して、と会社の人たちは動いていく。そもそもそうしたマーケティングでハズしまくっている商品って世の中にあふれているもんであって、そうしたハズした商品に仕立てあげられたときには、作り手の意図なんて地平線の彼方くらい遠くなってしまっている。

 わかった。もう、これからは全部に口を出していこう。事細かに注文していこう。